嗅覚低下をきたしやすい要因にはどのようなものがあるでしょうか?
1)加齢
嗅覚に関する細胞は、死滅しても再生することが可能な細胞といわれていますが、加齢によりその新生能力が低下するために嗅覚が低下するといわれています。これは年齢が進むにしたがって、老眼や難聴が少しずつ進むのと同じようなことであると思われます。
2)男性であること
男性では60代、女性では70代から少しずつ低下していくことがわかっています。
3)副鼻腔炎など鼻疾患の既往
嗅覚障害をきたしやすい鼻疾患には、①副鼻腔炎、②感冒後嗅覚障害、③アレルギー性鼻炎、④外傷性嗅覚障害、などが挙げられます。
4)喫煙
タバコの煙による嗅上皮の嗅神経細胞の低下と嗅覚障害が生じ、さらに回復抑制も起こるそうです*1。また同実験により。さらに加齢が加わる場合は、喫煙による嗅神経細胞の細胞死が亢進することために嗅覚障害が持続するとのことです*2.
5)動脈硬化などの生活習慣病にかかっている。
などが挙げられます。
○嗅覚低下のリスクを避けるために有効なこと
1)適度な運動をする。
適度で継続できる運動(ウォーキングや軽い筋トレ)は、いろんな病気の予防になります。
2)鼻の病気を治療する
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎、鼻腔ポリープなどがある場合はまず治療しましょう。
3)禁煙する。
4)風邪症状の後の嗅覚障害を放置しない。
感冒後の嗅覚障害を放置しておくと、そのまま嗅覚障害が残ることがあります。早めに治療しましょう。
5)生活習慣病を予防する、もしくは治療する。
動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病を予防する、有る場合は治療を続けて良い状態を保つことで、嗅覚障害の予防や悪化防止につながります。
<参考文献>
*1,*2 タバコ煙と加齢による嗅覚障害の機序ー嗅上皮障害を中心にー上羽瑠美 東京大学耳鼻咽喉科・統計部外科 日鼻誌(59)1:91、2020)