口腔(こうくう)は、唇の内側から喉(のど)までの空間のことで、いわゆる口の中をさします。口腔は、歯、口唇(こうしん:唇)、口蓋(こうがい:歯の内側)、頬粘膜、舌、唾液腺開口部などから構成されています。口腔は鼻腔(鼻)や咽頭(いんとう:喉)と奥で繋がっています。

咽頭は、「上咽頭(じょういんとう)」「中咽頭(ちゅういんとう)」「下咽頭(かいんとう)」の3つに分かれます。「上咽頭」は、鼻の奥、喉の上の方にあり、空気の通り道です。「中咽頭」は、口腔の奥で口を開けたときに見える部分です。「下咽頭」は、口腔よりも下で喉頭(こうとう:のど仏)や食道の入口付近にあります。「中咽頭」「下咽頭」は、空気と食べ物の通り道となっています。

また、口は呼吸、咀嚼(そしゃく:食べ物を噛んで食べやすくする)、嚥下(えんげ:物を飲み込む動作)、発声・発語、味覚など、人が生きていく中で大切な生命維持とコミュニケーションの働きを担っています。

(画像)口腔・咽頭の構造|一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会

口の中・顔面に起こる症状と考えられる病気には、次のようなものがあります。

  • 口の中が痛い……口内炎、唾石(だせき)、唾液腺炎など
  • 舌が痛い・舌にできものがある……舌炎、口内炎、舌がんなど
  • 喉が痛い……風邪、咽頭炎(いんとうえん)、扁桃炎(へんとうえん)など
  • 喉に違和感がある……咽頭炎、咽喉頭異常感症、咽頭がんなど
  • 咳や痰が出る……風邪、咽頭炎など
  • 声が出ない……喉頭炎、声帯ポリープなど
  • 飲み込みにくい……嚥下障害、咽頭がんなど
  • いびきをかく……扁桃肥大、睡眠時無呼吸など
  • 味がしない……味覚障害など
  • 顔が動かない、顔の表情が左右で異なる……顔面神経麻痺など

口の中・顔面の不快症状でお困りの方は、お気軽に当院までご相談ください。

口内炎

口内炎は口の中の粘膜にできる炎症の総称で、厳密にはできた場所によって舌炎、歯肉炎、口唇炎と呼ばれます。口内炎の主な原因はストレス・栄養不足、外傷、ウイルス感染などです。治療は生活習慣の改善を行いながら、物理的刺激など明らかな原因の除去、ステロイド剤・抗菌剤の軟膏、貼付薬、ビタミン剤などの薬物療法、うがいで口内を清潔に保つなどの対症療法を行います。治りにくい場合にはレーザー治療を行うこともあります。

また、口内炎と思っていても初期の「口腔がん」や、一度に多発・何度も繰り返すときには、ベーチェット病などの「自己免疫疾患」が隠れている可能性もあります。
次のような場合には、一度ご来院ください。

  • 2週間以上痛みが続く
  • 発熱・下痢などの全身症状を伴っている
  • 同時に多数できる
  • 患部が徐々に大きくなる
  • 口の中に痛みのない腫れ・しこり・ただれがある

アフタ性口内炎

よくみられる口内炎で、見た目は縁が赤く、表面は白く、真ん中が少しくぼんでおり、直径数ミリ程度の小さな潰瘍です。1個~数個できることもあります。
原因ははっきりしていませんが、過労・ストレスなどによる免疫力の低下、睡眠不足、ビタミン不足、胃腸障害などが要因となります。

カタル性口内炎

うっかり噛む、義歯・矯正器具が合わない、やけどなど外的刺激によって粘膜に傷ができたところに、細菌が繁殖して起こる口内炎です。患部は赤く腫れ、水疱となることもあります。アフタ性口内炎とは違い、患部の境界がはっきりしていません。口臭がしたり、口の中が熱く感じたり、味覚が分かりにくくなるときもあります。

ウイルス性口内炎

ウイルス感染が原因で起こる口内炎で、免疫力の弱い方・お子さんなどに多い口内炎です。「ヘルペス性口内炎」や夏風邪とも呼ばれる「ヘルパンギーナ」「手足口病」などがあり、多数の小さな水疱がみられます。

カンジダ性口内炎

通常身体にいる真菌(カビ)の一種であるカンジダ菌が、過剰に増えることによって起こる口内炎です。赤ちゃんによくみられ、頬の内側や口蓋(こうがい:口の中の天井部分)に白い苔のようなものが付着します。痛みはありませんが、ミルクの飲みが悪くなります。白い苔状が剥がれると、赤く腫れ、出血することがあります。糖尿病・血液の病気、ステロイド剤・抗生物質の長期使用など口内の常在菌のバランスが崩れることによっても、発症することがあります。

咽頭炎

咽頭炎は鼻・口からの空気の通り道である咽頭の粘膜が、ウイルス・細菌感染することで炎症を起こし赤く腫れます。声の使い過ぎや刺激性のあるガスを吸入するなど物理化学的刺激などによっても発症します。

急性症状では、喉の痛み、ものを飲み込む時に痛む(嚥下痛:えんげつう)、発熱、倦怠感などがみられ、鼻炎・副鼻腔炎がある場合には、鼻水や頭痛を伴うこともあります。
特に、溶連菌感染による急性咽頭炎は、高熱や強い痛みを伴うことが多いです。
また、咽頭炎の繰り返し、鼻炎・副鼻腔炎の後鼻漏(こうびろう:鼻の奥から喉に鼻水が下りること)が続くことなどによって「慢性咽頭炎」に移行すると、咳や喉の違和感が現れます。治療は、咽頭への薬剤塗布、ネブライザー(吸入)処置や安静、こまめな水分摂取、加湿器などによる喉への乾燥を防ぐ、うがいを行うなどの対症療法を行います。細菌が原因の場合には、抗菌剤を服用します。

扁桃炎

扁桃は喉の奥の左右にある丸いふくらみの部分に位置します。本来は体の中に細菌などが侵入することを防ぐ役割をしています。扁桃炎の原因は、扁桃へのウイルスや細菌感染です。喉が赤く腫れ、強い痛み、高熱、全身の倦怠感などの症状が現れ、扁桃に白い膿が付着することもあります。特に溶連菌感染の場合、急性糸球体腎炎・リウマチ熱などの合併症を起こしやすいので、注意が必要です。治療は、安静にしつつ対症療法を行い、細菌性の場合には抗菌薬を服用します。

また、扁桃炎をこじらせると、扁桃の周囲まで炎症が広がり、膿が溜まる「扁桃周囲腫瘍」になります。激しい喉の痛み、耳の痛み、高熱、嚥下障害、呼吸困難感などが現れ、膿を排出するために穿刺(せんし)・切開が必要となることもあります。処置を行っても再発しやすく、扁桃炎を年に何度も繰り返す場合には、扁桃の摘出手術を検討します。
※必要に応じて、対応病院をご紹介します。

鼻前庭湿疹(びぜんていしっしん)

鼻の入り口(鼻前庭:鼻毛が生えている部分)にかゆみ、乾燥感、痛み、軽い出血が見られる病気です。
原因として多いのが、副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎です。常に鼻水が出て鼻粘膜が湿っている状態のとき、頻繁に鼻をかんだり、いじったりしていると、粘膜がただれ湿疹ができてしまうのです。
湿疹範囲が狭ければ、自然治癒することも可能ですが、炎症が進んでいるときには抗菌薬の服用やステロイド軟膏を塗ります。また、鼻水が止まらないときには、抗アレルギー薬の服用など鼻炎治療も行います。鼻が気になっても、いじらないようにしましょう。

唾石症

唾石症の症状は、食事の度に顎の下や耳の前に痛み・腫れが現れますが、しばらくすると治まるという特徴があります。原因は、唾液腺(唾液の通り道)にカルシウムの塊(結石:けっせき)ができることです。唾石症は、唾液腺の中でも一番唾液の粘性が高い、顎の下にある顎下腺(がっかせん)によくみられ、耳の前にある耳下腺(じかせん)で起こることもあります。放置した結石が大きな塊となると、強い痛み、口内細菌の増殖、顔の腫れがみられ、唾液が出なくなることもあります。治療は切開や、また手術が必要な時もあります。
※必要に応じて、対応病院をご紹介します。

唾液腺炎

唾液腺炎は、耳下腺・顎下腺など唾液腺の炎症の総称です。
唾液腺炎の原因は様々で、ウイルス・細菌感染、アレルギー、自己免疫疾患などから引き起こされます。主な症状は唾液腺の腫れ・痛み・赤み・唾液分泌の異常であり、口が開けにくくなる、飲み込み・話がしにくくなることもあります。うがい薬・抗菌薬(原因が細菌の場合)などの対症療法で治療します。

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)

ウイルス性唾液腺炎の代表格で、「おたふくかぜ」として有名です。ムンプスウイルスの感染が原因です。主に耳の前にある耳下腺が腫れ、顔の輪郭が膨れる感じとなり、痛みがあります。※まれに耳下腺は腫れず、顎下腺や舌下線が腫れることもあります。
ムンプス難聴、大人の睾丸炎(こうがんえん)、卵巣炎などの合併症に注意が必要です。学校保健安全法第二種に定められているため、腫れが現れた後、最低5日経過するまでは、出席停止措置が必要となることがあります。

細菌性唾液腺炎

唾石などによって、唾液分泌が不足し、口の中が不衛生な状態のときに起こりやすい病気です。口の中に常在している細菌が、唾液腺の開口部(入り口)から侵入し感染します。膿が出ることもあります。慢性化すると、唾液腺が硬くなり、唾液の分泌が低下することもあります。

口腔がん(舌がん・咽頭がん)

口の中にできるがんの総称です。初期には強い症状が現れないことも多く、口内炎と紛らわしいことがあります。なかなか良くならない口腔粘膜の異常がある場合には、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

舌がん

口腔がんの半数以上を占めます。舌がんのほとんどは、舌の側面・裏側にできます。
初期症状では、舌に小さな腫れ・しこりができたり、粘膜が赤色・白色に変化したりします。進行すると、表面に凹凸や潰瘍がみられるようになります。

咽頭がん

咽頭がんは、空気や食べ物の通り道である咽頭に起こるがんです。内視鏡による診察で早期に発見できるようになってきましたが、首のリンパ節への転移で気づくことも多いがんです。
鼻腔の奥にできる上咽頭がんは、耳の閉塞感・鼻づまり・鼻出血など鼻症状のほか、がんが上の方に進展すると、脳神経症状が見られることもあります。喉の奥の方にできる中咽頭がんは喫煙、飲酒が影響し、初期では喉の違和感・しみる感じがみられることもありますが、無症状のこともあります。喉の下方にできる下咽頭がんは飲酒が影響し、初期に喉の違和感や痛みが現れることがあります。進行すると声枯れ・息苦しさ、嚥下障害、耳への放散痛がみられることがあります。

睡眠時無呼吸

睡眠時無呼吸は、寝ている時に呼吸が止まる病気で、大人だけでなく子どもにも起こります。睡眠時の無呼吸が日常化すると、いびき、日中の強い眠気・集中力低下、夜間の頻尿、起床時の頭痛などの症状が見られるようになり、放置は高血圧・脳卒中・心筋梗塞など様々な合併症を引き起こすことがあります。特に日中の強い眠気は、運転事故・労働災害などを起こす原因になりかねないため、早めに治療したい病気です。
睡眠時無呼吸の主な原因は、空気の通り道である上気道が物理的に狭くなる「閉塞性無呼吸」です。肥満による首回りの脂肪沈着、アデノイド・口蓋扁桃(いわゆる扁桃腺)の肥大、鼻炎・鼻中隔弯曲などの鼻の病気、あごが小さいことが閉塞性の要因となります。
治療は、睡眠時にマスクを装着して、空気を継続的に送ることで狭くなった気道を広げるCPAP治療や、お子さんなどアデノイド・口蓋扁桃肥大が原因となる場合、摘出手術が有効となります。
また、心臓機能が低下した方などは、呼吸中枢の異常による「中枢性無呼吸」となることもあります。
※必要に応じて、対応病院をご紹介します。

味覚障害

味覚障害が起こると、食べ物の味が分からなくなる、口の中に何もなくても味がする、何を食べてもまずく感じるなど、おいしいものでもおいしく感じなくなります。
原因の多くは亜鉛不足が関係しているとされていますが、ほかにも加齢、降圧剤や糖尿病などの薬による副作用、がん治療、ストレス、味覚障害を伴うドライマウス・舌炎・口腔内真菌症などの病気、鼻づまり・アレルギー性鼻炎による一時的な「風味障害」もあります。
治療は原因によって異なり、亜鉛剤の服用、原因となる薬の服用中止などを行います。
自覚症状がある方以外にも、食欲がないことが続いている方は、お気軽に当院までご相談下さい。

顔面神経麻痺

顔面神経麻痺は、顔の表情を作る筋肉(表情筋:ひょうじょうきん)を動かす顔面神経が麻痺して顔が動かなくなる病気です。顔の表情が左右非対称になる、眼が閉じにくい、口角(口の両脇)が上がらない、水・食事が口から漏れるなどの症状が見られます。
原因は外傷性のほか、ウイルス感染によるベル麻痺・ハント症候群や中耳炎などが原因となることもあります。ベル麻痺・ハント症候群・中耳炎などが原因となる場合、治療はステロイド・抗ウイルス薬などの薬物療法や手術を行います。早期治療開始が症状改善に影響することがあるため、発症後早めにご来院ください。

(画像引用)顔面神経|一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会

院長からひとこと

口や咽頭、喉の病気にかかると、痛くてご飯が食べられない、声が出ない、呼吸が苦しいなど色々な症状が出てきて、生活に支障を生じます。
おかしいな?と思ったら早めに受診してみてくださいね。

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