「花粉症」とは、主にスギ・ヒノキなどの花粉が原因となって起こるアレルギー疾患で、医学的には「季節性アレルギー性鼻炎」と呼ばれます。日本では今や「国民病」として、全世代で約3人に1人の割合で「花粉症」に罹患しているとされています。
主な症状は、「透明なサラサラした鼻水」「くしゃみ」「鼻づまり」で、原因となっている花粉が飛散している時期にだけ症状が現れる特徴を持ちます。花粉症を発症しても命に関わることはありませんが、症状が続くことで「集中力の欠如」「睡眠障害」「イライラする」「副鼻腔炎や中耳炎の原因になる」など日常生活に悪影響を及ぼす恐れもあるため、早めの治療が望まれます。花粉症は一度発症すると自然治癒が難しい病気ですが、適切な治療を行えば、不快症状の軽減やQOL(生活の質)の低下を防ぐことも可能です。
花粉症の基本治療は、症状を軽くするための「対症療法」となりますが、スギ花粉症については、アレルギー体質そのものを治す可能性のある「舌下免疫療法(ぜっかめんえきりょうほう)」という新しい治療も現在始まっています。当院でも治療可能であり、痛みや副作用がないため、お子さんから大人まで花粉症でつらい思いをされている方におすすめです。
毎年決まった時期に鼻や目・全身症状が現れる方、お薬で症状を抑えられない方、舌下免疫療法にご興味をお持ちの方は、お気軽に当院までご相談ください。
花粉症の疫学
花粉症の患者数は明確にはなっていませんが、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした鼻アレルギーの調査が1998年から約10年ごとに計3回実施されています。その調査によると、花粉症の有病率(花粉症を持っている人の割合)は約10年で約10%ずつ増加しており、スギ花粉症では10代~50代までの年齢層で45%を超えていると報告されています。特に5~9歳では約30%、10歳代で約49.5%と急増しており、スギ花粉症の発症年齢の低年齢化が指摘されています*1。
*1(参考)鼻アレルギーの全国疫学調査2019 (1998年, 2008年との比較) : 速報―耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として P.3|日本耳鼻咽喉科学会会報 123 巻 (2020) 6 号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/123/6/123_485/_pdf/-char/ja
花粉症の原因
花粉症は、「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれ、花粉によって引き起こされるアレルギー性疾患です。
花粉症発症のメカニズム
私たちの身体には、細菌・ウイルス・花粉・ダニなど自分の身体の成分と違うもの(抗原:こうげん)が体内に侵入してくると、「異物」として認識して攻撃・排除する働き「免疫」があります。特にアレルギーの原因になる抗原を「アレルゲン」と呼びます。
花粉症とは、免疫システムが本来は身体に害のない「花粉」にまで過剰反応することによって発症します。
<花粉症の発症までの流れ>
- 花粉(アレルゲン)が目・鼻などの粘膜から体内に侵入すると、免疫システムにより、花粉に対抗するための抗体(IgE抗体)が作られます。
- 作られた抗体は鼻などの粘膜にある「マスト細胞(肥満細胞)」の表面にくっついて待機しています。=「感作(かんさ)の成立」
※「感作の成立」の可否には、個人差があります。 - 花粉が侵入する度に、抗体が少しずつ蓄積していきます。
ポイント
感作が成立しても、抗体の蓄積が一定量に達するまでは「無症状」です。なお、許容できる蓄積量は個人差があります。
- 抗体の蓄積が一定量を超えた後、再び花粉(アレルゲン)が体内に侵入すると、マスト細胞上の抗体と結合してマスト細胞が活性化します。
- 「抗原抗体反応(アレルギー反応)」が起こり、「アレルギー物質」を放出します。
- その結果、アレルギー症状として「くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみ」などが現れます=「花粉症の発症」
花粉症の原因となる植物
花粉症を引き起こす原因となるアレルゲンは、「植物の花粉」です。
花粉症の原因として有名なのは、春に花粉が飛散するスギやヒノキですが、実はその他にも春以外の季節に飛散する花粉や特定の地域で飛散する花粉など、日本国内だけでも約60種類の花粉症が確認されています。
兵庫県近郊では、次のような植物の花粉の飛散が確認されています*2。
- 春(2月~5月頃)
スギ、ヒノキ、カバノキ、ハンノキ、シラカンバなど - 夏(5月~7月頃)
カモガヤ、オアワガエリなどのイネ科の雑草 - 秋~冬(9月~11月頃)
ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどの草木
*2(参考)花粉情報|兵庫県立健康科学研究所
https://web.pref.hyogo.lg.jp/iphs01/kenkokagaku/pollen.html
(表)兵庫県近郊の主な花粉飛散カレンダー
花粉症の症状
花粉症の3大症状は「透明なサラサラした鼻水・くしゃみ・鼻づまり」です。
鼻以外にも次のような部位に症状が現れることがあり、症状の強さには個人差があります。
目
かゆみ、充血、涙が出る(アレルギー性結膜炎)など
鼻症状に加え、目の症状を伴うケースが多くみられます。
のど
イガイガする、かゆみ、乾燥による痛み、乾いた咳(空咳)、声がしゃがれるなど
- 口腔アレルギー症候群
シラカンバ・ハンノキ・イネ科花粉症がある人の中には、リンゴ・モモ・スイカ・オレンジ・キウイ・トマトなどの果物を食べると、口の中がかゆくなったり、腫れたりすることがあります。
耳
かゆみ、詰まった感じ(閉塞感)など
皮膚
肌荒れ(ヒリヒリ感・かゆみ)など
その他
頭痛・頭が重い感じがする、においが分かりにくいなど
また、花粉症の症状が続くことにより、日常生活に次のような影響を及ぼす恐れがあるため、早めに治療しましょう。
- 仕事や勉強への集中力の低下
- 睡眠障害(寝付けない、途中覚醒、眠りが浅いなど)
- 慢性的なイライラや憂鬱
- 疲労感・倦怠感が続く
- 花粉症の検査・診断
- 花粉症は、自覚症状と診察などから総合的に判断可能ですが、原因(アレルゲン)を特定するためには、「血液検査」が必要となります。
問診と視診
自覚症状と症状の強さ、発症した時期、他のアレルギー疾患(気管支喘息・アトピー性皮膚炎など)の有無、ご家族のアレルギー歴など、詳しくお伺いします。
過去にアレルギー検査を受けたことがある方は、ぜひ検査結果をご持参ください。
- 鼻鏡やファイバースコープ(鼻内視鏡)による視診
ファイバースコープなどで、鼻の粘膜の状態(鼻水・粘膜の腫れなど)を確認します。また、副鼻腔炎・鼻中隔弯曲症(鼻の中の仕切りが片方に寄っている状態)・急性鼻炎など、他の鼻の病気があるかどうかの確認も併せて行います。 - 鼻汁好酸球検査
「鼻水の原因がアレルギーによるものか」を判断するための検査です。
鼻水を採取して特殊な処理により染色した後、顕微鏡で好酸球(こうさんきゅう:白血球の一種)の数を測定します。花粉症などのアレルギー性鼻炎では「好酸球」が増加します。痛みなく行える検査で、5分~10分で結果が分かります。
血液検査(特異的IgE抗体検査)
花粉症の原因となる物質(アレルゲン)を特定する血液検査で、種類やアレルギー反応の強さを確認します。
当院では、20分程度で結果が分かる「アレルギー検査キット」を導入しております。
アレルギーの原因となる主なアレルゲン8項目(スギ・カモガヤ・ブタクサ・ヨモギ・ヤケヒョウダニ・ゴキブリ・ネコ・イヌ)が調べられます。注射による採血ではなく、指先からの少量の血液採取となるため、小さなお子さんでも安心してお受けいただけます。
※舌下免疫療法を開始するためには、アレルゲンを特定する「特異的IgE抗体検査」は必須です。
そのほか、皮膚テスト(皮膚に注射でアレルゲンを入れて、抗体があれば赤く腫れるなどの反応がみられる)、鼻誘発試験(アレルゲンを鼻粘膜にろ紙でつけると、くしゃみ・鼻水・鼻づまりなどの反応がみられる)などで、アレルゲンに対する抗体の有無を調べる場合があります。
「花粉症」の治療
花粉症の治療の基本は「アレルゲンの除去と回避」となりますが、病院の治療では薬による「対症療法」を中心に進めていきます。
近年、アレルギー反応を起こしにくい体質に変える「舌下免疫療法」や、症状が出る前に予防的に薬を服用する「初期療法」が行われるようになっています。
様々な治療法があるため、当院では病状や重症度、ライフスタイルなどを踏まえて、患者さんと相談しながら選択しております。
薬物療法
花粉症治療の基本であり、「日常生活に支障がないレベルに症状を抑えること」を目的としています。なお、花粉症による症状の出方には個人差があるため、当院では患者さんお一人お一人に合わせて処方しています。
- 抗アレルギー薬
花粉症治療の中心的お薬です。鼻水・くしゃみ・鼻づまりの症状を抑えます。- 初期療法
抗アレルギー薬の効果がみられるまでには、通常1~2週間かかります(個人差があります)。この弱点をカバーする方法が「初期療法」であり、花粉症の症状を抑えたり、軽くしたりする効果が期待できます。治療のポイント
お薬の服用を「花粉飛散よりも前から始めること」です。
スギ花粉症の場合では、1月下旬~2月初旬頃にご来院ください。
- 初期療法
- 点鼻薬
特に鼻づまりの改善に効果的です。鼻の中に直接作用するので、副作用の心配がありません。 - 漢方薬
効き目がマイルドであり、体質を改善する作用があります。
当院では、必要に応じて使用しています。
例)小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)など
詳しくは漢方治療のページをご覧ください。
レーザー治療
レーザー治療は特に「鼻づまり」への有効率が高く、保険適用で行えます。
鼻づまりとは、鼻の粘膜がむくんで腫れていることで、空気の通り道が極端に狭くなっている状態です。腫れた鼻の粘膜に二酸化炭素レーザーを当て、焼く(蒸散する)ことで鼻の通りを良くするので、症状の軽減や薬の減量が可能です。さらに、アレルゲンが鼻の粘膜に付きにくくなる効果も期待できるため、くしゃみ・鼻水にも適応が広がっています。
ただし、アレルギー性鼻炎という体質そのものを治す治療ではないため、花粉の飛散量が多いときなど症状が強く出る場合には、他の薬物療法の併用が必要となることもあります。
【治療に適した人】
- 鼻症状の中でも、特に鼻づまりが強い
- 一年中、鼻が詰まっている
- 他の治療薬の効きが乏しい
- 妊娠を希望予定しているので、念のため薬は避けたい
- 妊娠中・授乳中などで薬が飲めない
- 小学校高学年以上
術中の出血や痛みはほとんどありませんが、治療中にじっとしていることが大前提となるため、当院では「小学校高学年以上の方」を適応としております。
【メリット・デメリット】
メリット:症状の軽減、薬の減量
デメリット:根治治療ではないので薬の併用が必要なケースもある、再発する可能性がある
【治療時期】鼻症状の出ない花粉オフシーズン(スギ花粉では5月~12月)
【治療の流れ】
- 麻酔薬を含んだガーゼを鼻の中に約15分詰めます。
- ガーゼを取り出します。
- レーザーを鼻の粘膜に当てます。(片鼻約5分×2)
麻酔の時間を含めても、治療は30分程度で終了します。
【効果の持続】1年~3年(人によって個人差があります)
※効果が薄れてきたら、再度レーザー治療をすることが可能です。
【注意点】
照射後1~2週間は鼻粘膜が腫れて、一時的に鼻づまり・鼻水が多くなります。その間、抑えるためのお薬を処方することで徐々に改善していきます。
照射部位に「かさぶた」ができますが、無理にご自宅で取らないようにしてください。
舌下免疫療法
花粉症を完治させる可能性がある唯一の治療法で、「アレルゲン免疫療法(減感作療法:げんかんさりょうほう)」のひとつです。皮下注射によるアレルゲン免疫療法と比べて、舌下免疫療法ではアナフィラキシーショックなどの重篤な副作用が起きにくい特徴があります。
3~5年間毎日、少量のアレルゲンエキスの含まれた治療薬を舌の下に数分置いてから飲み込むだけでよいため、基本的に「ご自宅で行う治療」となります。
※ただし、初回は副作用の確認のため、病院での投与となります。
時間をかけて体にアレルゲンを慣れさせることで、アレルギー反応を起こしにくい体質に変える効果が期待できます。2014年より健康保険での治療が可能となり、2018年からは5歳以上のお子さんの治療も始まっています。
(図)舌下免疫療法のイメージ
【治療可能なアレルゲン】スギ花粉のみ
※治療開始前に血液検査による「スギ花粉症」の確定診断が必要
【治療開始時期】スギ花粉症オフシーズンの5月~12月
※スギ花粉症のシーズン中やシーズン直前(1月~4月)は、アレルゲンに対し身体が過敏に反応しやすくなっているため、開始できません。
【治療推奨期間】3~5年間
【効果の有効性】約70%
※3年以上治療を続けた場合、治療終了4~5年後でも約80~90%に効果の持続があったとする報告があります。*3。
*3(参考)スギ花粉症におけるアレルゲン免疫療法の手引き(改訂版)P.13|日本アレルゲン学会
https://www.jsaweb.jp/uploads/files/sugi_tebiki16_honmon.pdf
詳しくは、舌下免疫療法のページをご覧ください。
手術療法
鼻づまりが特に強い方には、腫れている鼻粘膜(下鼻甲介:かびこうかい)を切除する手術を行うことがあります。
※手術が必要と思われる場合は、基幹病院にご紹介させていただきます。
生物学的製剤注射による治療【重症例のみ】
2020年から始まった保険適用で行える新しい治療法で、内服薬・点鼻薬を使用しても効果が乏しい重症スギ花粉症の方に対する治療となります。
1シーズン1~2回(2週間または4週間ごと)、病院にて生物学的製剤の皮下注射を行い、症状をコントロールして、日常におけるQOL(生活の質)の向上を目指します。
高価なお薬となりますが、重症症状をかなり軽減することが期待できるお薬です。このお薬は既に気管支喘息の治療で国内でも広く使用されているので、安全性は十分評価されています。
眠気の副作用がないので、重症患者さんで特に受験生や日常的に車の運転が必要な方におすすめです。ただし、12歳未満のお子さんには適応できないなど、適応にはいくつかの条件があります。詳しくは医師までご相談ください。
【薬の作用のしくみ】
現在、花粉症治療として処方される「抗アレルギー薬」などの薬は、花粉の侵入時にアレルギー反応として起こる「アレルギー物質の放出抑制」によって症状の軽減を図っていました。
しかし、この生物学的製剤による治療では、IgE抗体がマスト細胞と結合できなくすることで、「アレルギー反応そのものを起こさせないようにする」ため、より高い効果が期待できます。
【生物学的製剤による治療の条件】
- 重症または最重症の花粉症で、前スギ花粉シーズンでも重症な症状がある方
※過去の治療内容や症状により判断されます。 - スギ花粉のアレルギー検査(血清特異的IgE抗体検査)の結果が陽性であり、クラス3以上の方(FEIA法で3.5UA/mL以上またはCLEIA法で13.5ルミカウント以上)
- 花粉症の既存療法を1週間以上行ったが、効果不十分の場合
- 12歳以上で、血清中総IgE濃度が30~1,500IU/mL、体重が20~150kgの範囲にある方
花粉症の予防とセルフケア
花粉症治療と同じように大切なのが、患者さんご自身によるセルフケアです。
花粉症の発症予防や症状悪化を防ぐには、まず鼻や目に入る「アレルゲンの量を減らすこと」を心掛けましょう*4。
*4(参考)花粉症環境保健マニュアル2022 P.27|環境省
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf
アレルゲンの回避
できるだけアレルゲンを取り込まないようにすることで、病院での治療効果を高められます。
- 花粉情報に注意して、行動する
- 花粉が飛散する時期の風が強い日や晴れた日は外出を控える
- 外出時には、マスク・花粉対策用メガネ・帽子を着用する
※コンタクトレンズを使用されている方は、花粉の時期だけメガネに換えることをおすすめします。 - ウール(羊毛類)の服は避ける
ウールは、他の素材の服と比べて圧倒的に花粉が付きやすいため、家の中に花粉を持ち込んでしまう原因になります。 - 花粉の飛散時期には、洗濯物を外に干さない
- 花粉の大量飛散日は、窓を開けないようにしましょう
換気をする場合には、花粉の飛散が少ない「午前10時頃」までに行いましょう。また、レースのカーテンをしたまま窓を10cm程度開けて換気すると、花粉の流入を1/4に減らすことができます。 - 家(玄関)に入る前に、髪や服に付いた花粉を払い落とす
- 帰宅時は、うがい・洗顔をして、鼻をかんで、花粉を落としましょう
- 室内の掃除を小まめに行う
<花粉が飛散しやすい日・時間帯とは?>
一般的に、花粉は飛散開始から7日~10日ほどかけて徐々に飛散量が増えていきます。その後、4週間程度、花粉が多い時期となります。特に飛散量が増える日は「晴れて気温が高い日」「空気が乾燥している日」「風が強い日」「雨が降った翌日」です。また、一日の中で飛散が多い時間帯は、「お昼前後」「日没後」ですので、ご注意ください。
タバコは避ける
喫煙は鼻や粘膜を傷つけることがあるので、避けましょう。
規則正しい生活を送り、ストレス・疲れを溜めないように心がける
体調不良は、アレルギー症状の悪化につながりやすいので、注意しましょう。
よくあるご質問
花粉症と鼻風邪との違いは何ですか?
「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」といった症状は、花粉症だけでなく風邪による鼻炎でも現れます。花粉症は「アレルギー反応による症状」であり、鼻風邪は「ウイルスなどに感染したことによる症状」です。主な違いは、以下の通りです。参考になさってください。
花粉症 | 鼻風邪 | |
---|---|---|
症状が現れる時期 | 花粉が飛散する時期のみ | 一年中 |
鼻水 | サラッとした透明の鼻水、ダラダラ流れる感じ | やや黄色み・白色など粘性のある鼻水 |
連続したくしゃみ | 1回出ると、続けて何回か出る | 連続して出るのは、まれ |
目の症状 | かゆみ・充血など伴うこともある | 目の症状は、ほぼ現れない |
発熱 | 症状が続く・重症例では微熱を伴うこともある | 発熱を伴うことがほとんど |
症状が快方に向かう時期 | 花粉の飛散が落ち着く時期まで(約2~3か月間) | 1週間~10日程度 |
その他 | 家族もアレルギー体質を持っていることが多い | - |
妊娠中や授乳中でも花粉症治療は可能ですか?
妊娠中はホルモンバランスの変化によって、花粉症の症状が悪化しやすいとされています。
妊娠週数に合わせて治療を進めますが、胎児への影響を考えて、基本は「生活環境を見直しによるアレルゲンの回避」を行います。
- 妊娠初期(妊娠15週・妊娠4か月頃まで)
赤ちゃんの体の器官が形成される重要な時期なので、基本的に薬を使わずにできる対症療法を行います。
例)温熱療法、蒸しタオル、入浴(特に鼻づまりに有効)、マスクの着用など - 妊娠中期(16週・5か月以降)や授乳中
重症度などから総合的に判断して、安全性の高い薬を少量使うことがあります。
授乳中の場合、直前に授乳してから服用すると、赤ちゃんへの影響が最小限に抑えられます。
なお、妊娠判明後および授乳中の「舌下免疫療法」は、安全性が確立されていないため、お受けいただけません。(※免疫療法中の妊娠発覚では、原則的に治療継続は可能です)
花粉症の薬で注意することはありますか?
他のアレルギー疾患があり、薬を飲んでいる場合には、薬の効果が重複してしまうことがあるので、受診時に薬名を伝えるか、「おくすり手帳」をお見せください。
また、花粉症の薬というと「眠くなる」イメージをお持ちの方も少ないないでしょう。眠気は抗アレルギー薬の副作用として出現していましたが、現在は昔と比べて眠気が抑えられた第二世代のものが主流となっています。とはいえ、服用中は車の運転を控えるべきお薬もあるため、「眠気への配慮」が必要な場合には、お気軽に医師までご相談下さい。
院長からのひとこと
花粉症は今や「国民病」として約3人に1人が罹患していると言われています。
低年齢化も進んでおり、小さなお子さんでも花粉症やハウスダスト、ダニなどの通年性アレルギーの症状に困っておられる方は増えています。まずはご自身のアレルギーがどんなものかを知るところから始めてみましょう。
鼻症状でお困りの方は、お気軽にご相談ください。